横につなげると長くなる。

弱音の掃き溜めです。ようこそ。

全国のお惣菜コーナーに言いたい。

トマトが苦手だ。

 

嫌いと言うほどではない。好んでは食べない。あったら食うけど、わざわざ食べようとは思わない。

そんな僕が今日の昼はトマトを欲していた。

 

スーパーの惣菜コーナー。昼飯を選ぶ。

「トマトを欲していた」とは言ったがそれは意識として明確にあったわけではなく、ただ大脳の奥底に形を持たず滞留している澱のようなものだった。

チーズハンバーグ弁当、チキン南蛮弁当、酢豚弁当…と多様な選択肢の中に、目当てのものを見つけた。

 

おろしカツ弁当。

ぶ厚目のトンカツの上にタレの染みた大根おろし。ぎっしりと詰められた白い米。乾燥バジルが振りかけられただけのシンプルなパスタ。それから、鮮やかな緑と赤。ーーパセリとトマトだ。

僕は右手を伸ばし、おろしカツ弁当を取り上げると買い物カゴへと据えた。その間、10秒。ここで手に取った惣菜をよく確認していれば、この後起きる悲劇を未然に防げたかもしれないと後悔している。

 

会計を済まし、レジ奥のカウンターで袋に詰める。気づいたのはその時だった。

 

透明プラスチックの蓋から確認できる緑と赤。

パセリとトマトであると疑わなかったその物体は、バランであった。

 

 

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私は2次元より3次元に恋するタイプで、よもや平面で構成されたバランを、立体である“新鮮お野菜”に見まごうなどとは考えもしていなかった。

これは消費者を錯誤に陥らせる罠ではないか。

僕は憤った。果汁100%の飲料でなければ、パッケージに果実の断面をモチーフとしたデザインをしてはならない、とか聞いたことがある。

 

ではバランはどうだ! 僕は実際にバランを“新鮮お野菜”と見間違い購入してしまった。ジュースならまだいい。ジュースのパッケージの中に“新鮮くだもの”が入っているなんて誰も思わないからだ。そんなものただの異物混入である。

しかし、お弁当は違う。プラスチック蓋というベールを1枚隔てた向こうにあるものがパセリとトマトであると、明らかに空目させにきている。

あのギザギザお山型のバランなら良いだろう。あんなお野菜は存在しない。そもそも“バラン”のモデルとなった“ハラン”は食いもんじゃない。単に彩りを添えるためのイミテーションであると一瞥しただけでわかる。

 

今回のリアル志向バランは悪質だ。見た目や彩りのためには必要だろう。だったら緑と赤があれば事足りるのではないか。僕のような哀れな人間を今後二度と生み出さないために、僕から提言がある。リアルパセリとリアルトマトの写真を使うからいけないのだ。要は緑と赤で構成された平面なら良いわけだ。ならば

 

 

 

 

ストⅡのブランカ。これでいい。