協力的高齢者
僕はカラオケが好きだ。
シダックスがカラオケ事業から撤退した。シダックスのカラオケは僕の青春であった。
中高大とシダックスのカラオケにはお世話になった。お世話になったとは言いつつ、木曜メンズデーでドリンクバーしか頼まないようなクソ客だったから、撤退したのは僕のせいかもしれない。土下座するしかない。すんません。お世話になりました。
カラオケは大抵ひとりで行く。気を遣って流行りの曲を歌う必要もなければ、洋楽をカタカナ発音で歌っても笑われないから。
機種に大してこだわりはないのだけれど、今日はDAMの話。
DAMには「みんなの声」なる機能があって、ユーザーが答えたアンケート結果に基づき、曲を歌う状況やらタイミングやら気分やらを指定すると、曲をサジェストしてくれる。
態度がでかいせいか、ひとり、大部屋に案内された僕は、「みんなの声とやらを使ってみるか」とデンモクを叩く。ーー間違ってもデンモク“で”叩いてはいけない。
「男複数・歌い始め・盛り上がる曲」で検索。
ーー結果、演歌ばっかりがでてきた。てっきり『睡蓮花』とか『ようこそジャパリパークへ』とかを推してくると思っていたが、予想外だった。
推察するに、アンケートに答える人が高齢者層に偏っているのだろう。確かに若者は大勢で来て“ウェーイ”と騒いで、アンケートなんかにゃ答えまい。
カラオケ好きのご高齢者たちが、律儀にアンケートに協力するもんだから、蓄積したデータがそっちに偏るんだろうなと。
デンモクとにらめっこしながら「どんな気持ちのときに歌う?」という質問に「怒ってる時じゃ!」と画面を叩くジジイ思い浮かべながら、『蝋人形の館』を歌って帰った。